【江口より】「書ける」ようにする指導と「書かない」ようにする指導

下記は昨年の事例Ⅰの問題とEBAの解答例です。

第1問(配点20点)

 研究開発型企業であるA社が、相対的に規模の小さな市場をターゲットとしているのはなぜか。その理由を、競争戦略の視点から100字以内で答えよ。

【EBA解答例】

大手企業が参入しにくいニッチ市場向けの製品開発を行うことで競争を回避し、研究開発投資負担を特定市場に集中させて開発効率を高め、技術力を強化することで独自で開発できる多様で幅広い製品開発を実現できるため。

私たちは上記の設問から解答例を示したうえで、その解答作成手順を指導するわけですが、その際に、「何を」「どこまで」書けるようになるのかを明確にすることが重要になります。

例えば、上記の解答例では、以下の要素が含まれています。

① ニッチ市場を選択することで大手企業との競争回避を図ったこと

② 経営資源を小さな市場に投下することで開発効率を高めたこと

③ ②を通じて市場から学習することでA社のケイパビリティを高めたこと

④ 経営成果として、独自の多様な製品開発を実現できたこと

読んで感じたと思いますが、上記解答要素は、下になるほど難しく、解答が困難となります。

みなさんもこの解答例をお読みになって、「こんなの書けるか!」と思われたのではないでしょうか。

EBAでは上記の回答例を示したうえで、本試験においては①および②を「必ず」書けるように指導します。それだけでなく、③および④を「書かないように」指導します。なぜそのようなことをするのでしょうか。
その理由は、受験指導機関として「合格答案を作成するためのリスクを最小化するための指導」を最優先するからです。

上記解答例のうち、①および②はリスクの小さい要素であり、③および④はリスクの大きい要素です。
リスクの大きさは設問解釈時点で評価されます。
昨年度の第1問の例では、設問解釈時点で①および②は理論想定できる要素であり、またこれを反復訓練することで確実に記述できるように指導可能です。
それに対し、③および④は相対的にリスクの高い解答であり、これを書けるように指導することは、結果的に①および②を記述するためのリスクを高めることになります。したがって、③および④の解答を「書かせないための指導」が必要になります。

ここであなたは、「①と②が書けるようになったとして、それで合格できるのか」という疑問をお持ちになったかもしれません。

それは素晴らしい気づきです。

EBAでは毎年100名以上の再現答案分析を行い、得点開示結果データをもとに、高得点答案の特徴を明らかにしています。
平均75点以上の高得点答案作成者が何を書いたのかを明らかにすることで、「80分で実現可能な解答」が指導できるようになります。
昨年の事例Ⅰの例でお話すると、上記の解答要素のうち、高得点答案を作成された5名全員が①および②を記述しています。

これがEBAが「必ず書けるように」指導する重要な要素の選択根拠です。
2次試験対策は模範解答が公表されないため、情報の非対称性が非常に高い分野ですので、これを解消するためのデータが重要になります。
「合格できるための具体的な到達状態」を明確に持ちましょう。
そして1年間という貴重な投資を確実な成果に結びましょう。

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1事例6,000円で視聴できますので、ぜひ試してみましょう。