事例Ⅱの出題業種とブランド理論

えぐちです。

今日から10月に入り、2次筆記試験まであと3週間を切りいよいよ超直前期に入りました。残りの日数は知識や理論、手順を定着させるために使用し、限られた時間を有効に活用しましょう。

今日は事例Ⅱについて書きます。下記表は平成20年以降の事例Ⅱの出題業種です。


平成13年(新制度)以降の出題業種は下記のとおりです。

メーカー 5回
小売   8回
サービス 5回


数字をみると、小売業の出題が目立ちます。ちなみに平成27年は商店街ですが、設問の9割が小売業でしたので小売業分類としています。また平成14年は卸売業ですが、内容はほぼ小売業出店なので同様に小売業分類しています。

平成20年以降の出題業種の動きをみると、今年の出題業種は①メーカー、②小売業となる可能性が非常に高いです。同じ業種が連続して出る確率は2割ちょいですので、サービス業が続く可能性は低そうです。サイクル的にはメーカーで、過去の出題回数的には小売業の出題が予想されます。ただメーカーと言っても、ほとんどが製造小売業なので、小売業としての理論応用も求められます。そうなるとメーカーと小売業の業種分類にはあまり意味がないような気がしますね。ではなぜ試験委員はわざわざメーカーを出題するのでしょうか。


ということで、前回のブログの続きを書きます。

前回のブログはこちら

事例Ⅱでは、過去5回出題業種がメーカーとなっていますが、そのすべての年度でブランドの問題が出題されています。逆に、メーカー以外でブランドが問われた年度は1回(平成16年)だけです。メーカー以外の業種は13回出題しているので、確率は8%になります。


今年の出題業種がメーカーとなった場合、必ずブランドの問題が出題されますので、ブランド理論を応用できる能力が求められます。


過去に出題されたブランド理論の問題を紹介します。



平成28年第4問(設問1)

インターネット販売を軌道に乗せるためにB社が採るべきブランド戦略を50字以内で提案せよ。


平成25年第2問

B社のさつまあげの新商品開発において農商工の連携が実現した要因のひとつに、副社長が農家に対して地域ブランドの確立につながるようにパッケージ・デザインの工夫を提案したことがある。

地域ブランドの価値を高め、かつ原材料の農産物の質の高さを訴求するためにはパッケージをどのように工夫すべきか。80字以内で述べよ。ただし、パッケージは筒状のビニール素材で、小判型のさつまあげを12枚程度重ねて包装するものである。形状を変更することはできないが、ビニール素材表面のデザインは柔軟に変更ができる。また、シールの貼り付けも容易である。


平成24年第4問

地域における企業ブランド強化に向けて有効と考えられるB社のマーケティング・アクションを2つ提案し、それぞれについて80字以内で答えよ。ただし、そのアクションの実行により期待される効果についても併せて述べること。


平成15年第4問(設問1)

B社が自社ブランドを構築・育成するにあたって、重要と思われることを2点あげ、それぞれ50字以内で述べよ。


平成13年第2問(設問1)

(a)既存ブランド「enigme」と(b)新規ブランド「petite enigme」において、B社が重要視した市場細分化変数(市場細分化の基準)は何か。


第3問(配点30点)

B社のブランド戦略について、次の設問に答えよ(ブランド名を書くときにはカタカナの表記も可)


(設問1)

B社の新社長は、なぜ「enigme」というブランド・ネームにこだわり、「petitee、nigme」という新規ブランド・ネームを採用したのか。その理由を簡潔に述べよ。


(設問2)

既存ブランド「enigme」の売上減少は、新規ブランド「petite enigme」の登場とともに起きている。どのような理由が考えられるであろうか、2つあげよ。


第4問(設問1)

既存ブランド「enigme」の売上回復のためには、B社の新しいマーケティング戦略としてどのようなものが考えられるか、150字以内で具体的に述べよ。


ブランドといえば岩崎邦彦先生!と思っている人が多いですが、正解ではありません。岩崎邦彦先生のブランドの本は「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」が有名ですが、その内容はブランド構築の効果や具体的なブランディング手法を説明するもので、1次理論を記述したものではありません。例えば平成28年や平成25年の問題を解くために有効な記述はありません。えぐちはブランドの問題はほかの試験委員の理論に基づいていると考えています。


例えば「ブランド要素」と聞いて何を想定できますか?試験委員の著書にはこれらが体系的に理論化されており、この中から2次筆記試験のブランドの問題で実際に出題されています。


今年は6,000名の受験生が1,000席の合格席を争う激戦の年です。えぐちは「例年の1.3倍の採点コスト」を最も効果的に削減するための技術は、「1次理論の応用能力の発揮を前提とした設問設計の調整」であると考えています。


多くの受験生は今年の1次試験問題を見直していると思います。今年の2次筆記試験において、応用が期待されている理論に抜け漏れがないか、今一度チェックしておきましょう。


EBAでは今週末から最終チェック講義オプションが開講します。上記のブランド理論はもちろんですが、今年の1次理論の応用事例を確認したいという方は、ぜひ参加してください。