令和元年度2次試験の出題の趣旨の考察(事例Ⅲ)

えぐちです。

今日は事例Ⅲの出題の趣旨を考察したいと思います。

第1問(配点20点)

C社の事業変遷を理解した上で、C社の強みを80字以内で述べよ。

【EBA解答例】

熱処理専業企業として素材や形状による温度管理などの特殊な技術を蓄積していること、熱処理部門に加えて設計部門と機械加工部門を保有した垂直統合度の高い生産体制が強み。

【出題の趣旨】

金属熱処理業として創業し事業拡大を図ってきたC社のこれまでの事業変遷を把握して、C社の強みを分析する能力を問う問題である。

設問の「事業変遷」を具体化した説明が追加されています。

C社は金属熱処理専業企業として特殊な技術力を蓄積しただけでなく、連続する工程を生産できる生産体制を構築したことで「事業拡大」しています。

これにより、①技術力の蓄積、②連続する工程の生産体制の2点がC社の強みであると考えられます。

第2問(配点20点)

自動車部品メーカーX社からの機械加工の受託生産に応じる場合、C社における生産面での効果とリスクを100字以内で述べよ。

【EBA解答例】

機械加工部門の生産量が2倍になり稼働率向上と量産加工による生産性向上、外注かんばんのシステム構築ができる効果がある。後工程引取方式によりX社の生産状況に生産が依存し、設備稼働率が変動するリスクがある。

【出題の趣旨】

X社からの新規受託生産に応じる場合のC社の生産面における効果とリスクについて、分析する能力を問う問題である。

出題の趣旨において追加的な情報はありませんでした。

「生産面」の制約を意識した解答が期待されていたと考えられます。

後工程引取方式の理論応用が期待された問題になります。

第3問(配点40点)

X社から求められている新規受託生産の実現に向けたC社の対応について、以下の設問に答えよ。

(設問1)

C社社長の新工場計画についての方針に基づいて、生産性を高める量産加工のための新工場の在り方について120字以内で述べよ。

【EBA解答例】

自動車部品専用の熱処理工程を新工場に移設して機械加工部門を同じ建屋に施設する。機能別レイアウトを維持し、前後工程の流れを重視して近接させる。マシニングセンタを導入し、工程間の運搬頻度を考慮して配置する。作業標準化を進めて多工程持ちを推進する。

【出題の趣旨】

C社社長の方針に基づいた新規受託生産のための新工場の在り方について、助言する能力を問う問題である。

追加的な情報はありませんでした。

与件にあるC社社長の新工場計画から、工程計画(①工程設計、②作業設計、③工程間の物流設計、④工程レイアウト設計)の理論応用が期待された問題であると考えられます。

EBA解答例では、それぞれ理論に基づき以下の解答を作成しています。

①工程設計(生産設備の選定):マシニングセンタの導入

②作業設計(マン・マシン・チャートによる分析):多工程持ちの推進

③工程間の物流設計(運搬の効率化):なし(搬送装置の導入などが該当します)

④工程レイアウト設計:各工程の配置および機械設備の配置

(設問2)

X社とC社間で外注かんばんを使った後工程引取方式の構築と運用を進めるために、これまで受注ロット生産体制であったC社では生産管理上どのような検討が必要なのか、140字以内で述べよ。

【EBA解答例】

機械加工部と熱処理部の生産計画を統合し、X社からの納期3日前の確定受注情報に合わせて日程計画のサイクルを短縮する。受注量に合わせて小ロット生産を行い、日程計画に合わせて材料発注サイクルも短縮する。余力管理により工程間の負荷を調整し、工程間在庫を削減して生産リードタイムを短縮する。

【出題の趣旨】

X社とC社間で後工程引取方式の構築と運用を進めるために、C社で必要な生産管理上の検討内容について、助言する能力を問う問題である。

追加的な情報はありませんでした。

本問は「生産管理」という十分すぎるヒントがあることから、これ以上の情報の暴露は今後の作問に影響するため控えたものと思われます。

本問は平準化生産の理論応用が期待された問題ですが、A評価を得るためにはその詳細は理論は不要で、工程間仕掛品を最小化し、欠品や部品の過剰在庫を回避するための助言ができれば十分でした。

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第4問(配点20点)

新工場が稼働した後のC社の戦略について、120字以内で述べよ。

【EBA解答例】

熱処理加工で蓄積した特殊な技術と、機械加工部門と熱処理部門を保有する体制、外注かんばん電子データ化システムを生かしてX社向け自動車部品以外の量産の機械加工受注を強化する。CAD/CAMを導入して設計業務を効率化し、工業会を通じて受注先を開拓する。

【出題の趣旨】

新工場が稼働し、X社からの新規受託生産が開始された後のC社の戦略について、助言する能力を問う問題である。

「X社からの新規受託生産が開始された後の」という情報が追加されたことから、一定数の受験生が設問解釈を誤ったことが推察されます。

具体的には、時制を「新規受託生産開始前」、つまり、新規受託生産を開始するための施策を解答した受験生が一定数いたと考えられます。

EBAで募集した再現答案でも、「X社から支援を得てノウハウを蓄積する」「X社から受注できるようにする」「X社からの受注を強化する」といった解答が散見されました。

 出題者の意図は、与件にもあるように「X社向け自動車部品以外の量産の機械加工受注を強化」となりますので、そのためのC社の強みや弱みを意識した助言を期待していたと考えられます。



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