逆イールド現象とリセッションとの関係

えぐちです。今日は診断士の話ではなく、経済のことを書こうと思います。みなさんは逆イールド現象をご存じでしょうか。初めて聞いたという方のために、簡単ですが説明します。

逆イールド現象とは、「債券市場における長短金利の逆転現象」のことです。

一般的に、長期金利は短期金利よりも高くなることで知られています。この一般的な現象が逆転した状態が、「逆イールド現象」です。それでは、逆イールド現象はどうして起きるのでしょうか。ごく簡単ですが、それは以下のようなメカニズムになっています。

①景気拡大期に中央銀行(日本なら日銀、アメリカならFRBです)は利上げをします。

②市場は利上げによる景気後退を予測し、運用先を相対的に利回りの高い10年物国債にシフトします。

③市場がさらなる景気後退を予測した場合、投資家は株式も売却して長期国債を購入します。

④長期国債の需要が増加することで価格が上昇し、利回りは低下します(配当割引モデルを思い出してください)。

⑤市場崩壊への警戒感がさらに強まると、投資家は短期国債の保有を嫌い、さらに長期国債を好んで保有しようとします。これは、投資家が短期的にはデフォルトなどのリスクを懸念しても、長期的には市場が回復しているとの予想から、デフォルトのリスクは短期国債よりも低いだろうという考えに基づいています。

⑥この結果、短期金利が長期金利を上回るという逆転現象が起きます。

この逆イールド現象ですが、一般的には「景気後退の兆候」と言われています。これは三井住友DSアセットマネジメントの2019年8月15日のレポート「米国の逆イールドが米国株と日本株に与える影響」です。

米国では1年以内に3度の逆イールド現象が発生しています。直近では2019年8月15日に、逆イールド現象が起きています。これはブルームバーグのウェブサイトです。米国の2年物国債と10年物国債の利回りに注目してください。

三井住友DSアセットマネジメントのレポートでは、「直近3度の米景気後退で直前に逆イールドが発生、景気後退までの平均期間は2年2カ月程度。」と書かれています。なかなかのインパクトですね。景気後退までの平均期間は2年ちょいということですが、直近の景気後退は、みなさんの記憶にも新しいリーマン・ショック(2008年9月)の前、2005年12月でした。今回の逆イールド現象は、実に12年ぶりということです。

2018年にFRBは4度の利上げを行いましたが、市場への影響は大きく、2019年8月、ついに利下げに踏み切りました。米国の政策にはECBや日銀も追随しますので、世界的に低金利になります。日本ではある時期から急激な円高が予想され、輸出企業の業績やインバウンド需要への悪影響が懸念されます。

利上げは、民間企業だけでなく、政府機関にとっても深刻な影響をもたらします。

これは財務省ウェブサイト「日本の財政を考える」へのリンクです。

サイトにおいて、金利上昇は国の財政に重篤な影響を与えることが指摘されています。FRBのこの政策は、「短期的には」日本経済にとっても利益のあることかも知れません。

私たちは中小企業診断士の勉強でケインズ経済学を学びます。拡張的な金融政策は金利低下をもたらし、投資を促進し、GDPを拡大させるというメカニズムでしたね。現在の世界は異次元の金融政策のど真ん中にあるわけですが、これが世界経済にどれだけの効果をもたらしたでしょうか。株価は上がり、不動産価格も高騰しました。これを好景気という人もいるかもしれません。

備えあれば憂いなし。とても重い言葉であり、「いま」の私たちにとってとても大切な言葉です。外部環境のシグナルを決して軽視することなく、「今やるべきこと」に向き合いましょう。

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