想定と結果の検証

えぐちです。今日は、試験前に書いたブログを振り返りながら、今年の2次試験を評価してみます。

こちらのブログで書いた内容を振り返ってみましょう。

事例Ⅰ

事例Ⅰは最も緊張する初めの事例科目であり、また、1問目・2問目の経営戦略レイヤーの問題への対応に理論想定が求められることから、大崩れしてしまうリスクも高めです。事例Ⅰの1問目・2問目は「設問解釈」が最も大切で、1・2問目の与件根拠を切り分けるための重要なヒントを読み取る必要があります。与件文をいくら読んでも「切り分け」のヒントは書かれていませんので、設問解釈に十分に時間をかけてください。

この1・2問目の入り方で崩れなければ、組織レイヤー・人的資源レイヤーの問題は実力を発揮しやすい問題になります。

とにかく事例Ⅰは設問解釈が勝負です。特に問われているのは「要因」なのか「変化」なのか、「助言」なのか、それとも「効果や成果」「リスク」なのか。問われている内容に対する解答を強烈に意識してください。「課題を聞いているのに助言する」といったケアレスミスの回避を最重視しましょう。


今年はこれまでの型を変え、2問目に組織レイヤーの問題が出題されました。
ただ、「企業風土」という表現からレイヤー特定が可能なので、「2問目は経営戦略問題ではないな」と判断できたと思います。
例年、1・2問目が経営戦略問題ですが、今年は1・3問目となりました。


また、与件切り分けのヒントですが、1問目と3問目はA社長就任前後の時制で切り分けることになります。
ここを意識できれば大事故は回避できました。


4・5問目は例年通り、組織レイヤーの問題でした。
ただ、例年は組織構造→人的資源管理の順番でしたが、今年は人的資源管理→組織構造と逆になっていました。
ただこれも、第5問の「組織再編」という表現で容易に識別できました。
また、第1問と第5問で「最大の理由」が問われるなど、解答構成上の制約条件を意識する必要がある問題も出題されました。


与件解釈の難易度は別に、事前の想定ができていると、そのギャップを知覚して対応しやすくなります。

事例Ⅱ

事例Ⅱにおける設問解釈では特に、①新規顧客/既存顧客、②インターネット上/店舗等、③外部連携の有無、④1次理論制約(ブランドなど)の有無を意識してください。これらの条件は、各設問の自由度を下げる際に役立ちますが、本試験ではこれらを意識し忘れてしまい、助言で何を書いてよいのかわからないといった事態になりかねません。かならず意識しましょう。



設問解釈時点で識別できた情報として、

①新規顧客/既存顧客

第2問は「既存顧客」、第3問(設問1)は「新規顧客」、第3問(設問2)は「初回来店する既存顧客」という区別ができました。

②インターネット上/店舗等

第2問はインスタントメッセージの送信なので「インターネット上」となり、第3問(設問1)は「協業による新規チャネル」、第3問(設問2)は「店舗」であることがわかります。

③外部連携の有無

第3問と第3問(設問2)は「自社資源のみ」、第3問(設問1)は外部との協業であると判断できます。

④1次理論制約(ブランドなど)の有無

第3問(設問2)は、「(新規顧客の)初回来店時」であること、B社がサービス業であることから、サービス特性とその対応の理論(令和元年企業経営理論第33問で出題)を想定することができました。

設問解釈時点でこれらの情報を整理しておくと、与件解釈以降の処理でかなり自由度を下げることができました。

事例Ⅲ

事例Ⅲも事例Ⅰと同様、設問解釈が最も重要です。生産管理/生産現場の識別ヒントを見逃さないようにすること、そのヒントをしっかり活用して与件を切り分けることを最重視してください。運搬改善はIEの領域ですが、生産統制でも扱います。切り分けが難しかったら迷わず両方で使用しましょう。管理図やバスタブ曲線がでてもあわてないでください。昨年のマンマシンチャートと同様、「図の深い読み込み」は不要です。第1問が情報整理問題の場合、必ず最後の戦略問題とセットで処理をしてください。強み、弱み、外部資源、ICT投資、高付加価値の意識を忘れないでください。


設問解釈時点で、第3問(設問1)が生産現場(とレイアウト)問題、(設問2)が生産管理問題の識別ができました。
運搬改善の問題は出ませんでしたが、別々の建屋で生産する機械加工部と熱処理部を近づけさせる意図の問題が出題されました。
また、今年は図の読み込みがなかったので時間管理はしやすかったと思います。

第1問と第4問の経営戦略問題は想定通りの処理ができました。
「強み」「外部資源」「ICT投資」「高付加価値(垂直統合度の高い受注)」を意識できれば高得点が可能でした。

事例Ⅳ

事例Ⅳは、管理がすべてです。始めの10分で全体を俯瞰しましょう。問題数、設問数、知識問題、個別問題の理論確認、処理する/しないの判断、優先順位、時間配分。

経営分析は指標にこだわりすぎず、22分で編集まで。次は知識問題です。与件文の解釈が必要かを必ずチェックしましょう。残り40分で2問を選んでください。個別問題は変数処理(CVPなら固変分解や変動費/固定費の変化情報の処理)がすべてです。しっかりメモを残してケアレスミスを見える化しましょう。


経営分析は例年よりも簡単で、時間配分は容易でした。
また第4問で出題された知識(記述)問題は、与件文(EDI)の解釈が必要でした。これは平成30年と同様です。


また第2問(設問3)のCVP問題は、マーケット事業部の売上高10%増加に連動して変動費も10%増加させる設定が出題されました。
平成27年、平成21年にも同様の設定で出題されています。
この想定ができるとかなり有利でした。


当日の想定ができることで、想定と異なることが知覚でき、リスクを回避することができます。
本試験は普段通りのパフォーマンスが期待できませんので、上記のような想定をしっかり行えるように意識することが重要です。
意識できないなら予め書くことで、余計なプレッシャーから解放されて仕事ができるようになります。