A評価とD評価の違いを明らかにする(その1)

えぐちです。

今日も再現答案を共有して2次試験の評価について分析していきたいと思います。


以下の2つの答案を比較して、どちらが優れているかを評価してみましょう。

令和元年度事例Ⅰ問題

第1問(配点 20 点)

 A 社長がトップに就任する以前の A 社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。

EBA解答例既存事業の経営資源が活用できなかったため。中小メーカーのA社にとってメンテナンス事業はコアテクノロジーが活かせない事業であり、異なる事業分野のノウハウを蓄積できず、膨大な数の部品在庫が収益を圧迫した。
Xさん最大の理由は、市場ニーズに対応した、強みを活かした付加価値の高い事業ではなかったから。縮小する葉たばこ市場の既存顧客を対象にしており、収益化を意識したものではなかった。
Yさん最大の理由は、事業の絞りができず自社のコア技術が不明確な事業で、シナジー効果も発揮できず競争優位を構築できなかったため。古き良き時代を知っている古参社員の受け入れもなく、売上増大と費用増大となった。



第2問(配点20点)

 A社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にあるA社の企業風土とは、どのようなものであるか。100字以内で答えよ。

EBA解答例A社は最盛期には現在の数倍を超える売上を上げており、高業績に貢献した古参社員が影響力をもっていた。古き良き時代を知る古参社員たちが新しい事業に取り組む際の抵抗勢力となる現状維持志向の企業風土が存在した。
Xさん①新たな事業への取り組みに否定的で、②保有期限の過ぎている部品も依頼に応じて対応し、手書きの帳簿処理や全社的な計数管理の不足など、コストや効率性の意識が低い前近代的な企業風土。
Yさん①部品保有期間を過ぎた機械部品を個別対応のために膨大な数を保有し収益圧迫②営業所の帳簿が手書き処理で全社的な計数管理がない等の経理体制③古参社員の新しい業務への積極性がない、等で業務改善の意識が低い。



第3問(配点20点)

 A社は、新規事業のアイデアを収集する目的でHPを立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果など HPに期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。その成功の背景にどのような要因があったか。100字以内で答えよ。

EBA解答例インターネットの普及が背景にあった。多くの依頼を得ることでターゲット市場を絞ることができ、顧客ニーズを製品改良に活用することで、新規事業を必要とする市場の開拓、及び新規市場の販売チャネルが構築できた。
Xさんビジネスにおけるインターネット活用が一般的になる中、企業の抱える課題をインターネットで探す活用方法が増加し、アプローチできなかったさまざまな市場との結びつきができるようになったから。
Yさん潜在市場の見えない顧客に対して用途を問いニーズを収集し顧客から学習して製品改良に繋げることで、食品会社や漢方薬メーカー等の新市場との結びつきが出来た。営業部隊のプレゼンテーションも効果的に機能した。



第4問(配点20点)

 新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていたA社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100字以内で答えよ。

EBA解答例定年目前の高齢者をリストラして従業員の年齢を引き下げたことで組織が活性化した。自社のコアテクノロジーを明確に位置づけて社員に共有し、成果に応じて賞与を支払う制度により営業社員のモチベーションが向上した。
Xさん自社のコアテクノロジーを「農作物の乾燥技術」と明確にし、共有することにより、従業員が自社の強みを明確に把握し、新規事業においても共通する強みがあり提案しやすかったから。
Yさん自社のコアテクノロジーが明確となり社員に共有されたことで貢献意欲が向上した。灯油の燃費効率が大幅に改善する等、高次学習が図られ組織活性化した。成果に応じた賞与支払いが可能となりモラール向上に繋がった。



第5問(配点20点)

 A社長は、今回、組織再編を経営コンサルタントの助言を熟考した上で見送ることとした。その最大の理由として、どのようなことが考えられるか。100字以内で答えよ。

EBA解答例機能別組織の長所を優先したため。営業所間や部門間連携に課題があるが、全社的計数管理が可能で、役員が各部門を統括するためA社長の負担が少なく、A社長がすべての部門に目配りすることで組織的対応が可能になる。
Xさん A社は機能別組織を敷いており、副社長が営業を統括し、専務が開発と製造を統括して権限を委譲しており、A社長が戦略的意思決定を行う時間を確保できているため、機能別組織のメリットを活かすことができているから。
Yさん最大の理由は、経営資源の分散による組織的な対応力低下を懸念したため。各部門の専門性を発揮して中長期的な視点での取組みを維持する。すべての部門を目配りするA社長の意思決定負担軽減と迅速な意思決定が課題。




ぜひ皆さんも比較をしてみてください。

詳しくはその2で書きますので、比較をしたあとに見てください。





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