【2次】平成30年度試験結果を踏まえた平成31年度のEBAスクールにおける対策①

えぐちです。

今日から4回に分け、EBAスクールにおける平成31年度2次筆記試験対策の内容について書いていきます。

1.過去5年間の再現答案提出者の協会評価分布

※データは不合格者の分布で合格者は含まれていません。 ※母数はそれぞれ、H26(31名)、H27(57名)、H28(85名)、H29(85名)、H30(64名)です。

2.事例ごとの対策(事例Ⅰ)

※根拠となるデータは、平成30年度2次筆記試験のEBA採点に基づく採点結果と協会評価結果に基づいています

【これまでと変わらないこと】

・ドメインやバリューチェーンを意識した問題が出題される
・戦略レイヤーにおいて切り分けが難しい問題を出題する(第1問と第2問設問1)
・設問解釈時で理論展開できる問題の出題
・A社の過去や現在の戦略を解釈する際に時制情報の整理が必要となる
・組織構造問題の難易度が高い

【これまでと変化したこと】

・今後の戦略と課題が与件内に明示されていない
・成果主義テーマの出題が、個別設問内で指摘されなかった

①経営戦略レイヤーの問題への対応力向上

A社の経営戦略の問題として資源マネジメントが中心となる点は変わりませんが、平成30年度ではこれまで以上にバリューチェーンの意識をさせる意図の問題が出題されています。

A社の競争優位性構築のための経営戦略の構成要素(ドメイン・資源展開・競争優位性・シナジー)を軸とした理論想定の必要性が高まったため、平成31年度対策では経営戦略理論の軸をこれまでの「経営資源の選択と集中」を軸とした理論から変更しました。

これに対応するため、理論マスターテキストは全面改訂しています。
この対応により、経営戦略レイヤーにおいて例年出題されるおける切り分けが難しい問題(平成30年度では【出題の趣旨】より第1問、第2問設問1ともに「市場」がテーマの問題でした)への対応力が向上できます。

②設問解釈時における理論展開(想定)可能な問題への対応力向上

平成30年度では、例年通り、設問解釈時点で理論展開できる問題も複数問出題されています。
第1問では「規模の小さい市場」と「競争戦略」から「ニッチ市場」「大手企業との競争回避」が想定でき、第4問では「金銭的・物理的インセンティブの提供以外」から「内発的動機づけ」「非経済的インセンティブ」が想定できます。

設問解釈時点で1次理論の応用ができる問題が合格者・不合格者の得点差の原因となっていると考えられるため、同様のタイプの問題を用意した上で出題者の期待した理論を適切に想定できる能力を養成します。

③組織構造問題への対応力強化

組織構造の問題はここ数年難化しています。その理由は、与件で示される組織改編の内容が解釈しにくい点にあります。
平成30年度では機能別組織(専門知識別)から機能別組織(一部に製品開発・事業開発を含む部門別組織)への改編、平成29年度では「第三の創業」の解釈、平成28年度では機能別組織を「事業間に横串を刺す」組織に改編の解釈など、短時間で与件解釈が可能な難易度ではありませんでした。
しかし、結果として求められていた解答は「組織構造理論の基礎」から逸脱したものではなく、十分な理論想定をしていれば解答可能でした(平成30年、平成29年ともに機能別組織の逆機能)。
このため、組織構造の基本理論をしっかりと定着させたうえで、組織構造レイヤーの問題において、理論想定した上で与件解釈時の自由度を下げられるように演習問題を通じて鍛えていきます。

④平成30年度試験における変化とその対応策

平成30年度における変化として、これまでは与件に明示されていたA社の今後の課題が明示されなくなったことが挙げられます。
平成29年度では「全国展開における課題」、平成28年度では「アルバムの新たな需要の開拓」、平成27年度は「(組織文化の変革による)売上構成比の改善による利益率改善」など、与件本文にA社の今後の課題を明示、もしくは想定させる根拠を埋め込む与件設計を採用していました。
これに対して平成30年度では与件内に具体的な課題を明示していないことから、A社の今後の経営戦略が読みとりにくくなっています。

課題自体を類推させるタイプの問題は非常に難易度が高いですが、「ここ数年の売上構成比や業績」から今後の課題を読み取らせる意図の問題自体は従来から出題されています。

今年度はこのタイプの問題でA社の時系列売上データなどを短時間で情報整理したうえで、今後の課題を想定させる意図の問題を作成して鍛えていきます。

また数年に1度出題される成果主義の問題ですが、これまでとは異なり、設問内で「成果主義」を明示した上で理論展開させるタイプの問題を変え、与件内で「成果主義」を示したうえでこの問題点を想定したうえで助言させる意図の問題(第4問)を出題しました。

今年度の出題可能性は低いですが、成果主義問題の進化にも対応できるように演習を通じて鍛えていきます。