【年末年始特集④】平成30年度2次試験 出題の趣旨の考察(事例Ⅲ)

えぐちです。

昨日、一昨日に続き、今日は事例Ⅲを考察していきます。
※EBA解答例は11月4日に作成したものです。趣旨を踏まえた変更・修正は今日現在まではありません。

第1問(配点20点)
顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境にあっても、C社の業績は維持されてきた。その理由を80字以内で述べよ。

【出題の趣旨】
C社のこれまでの事業や立地環境の推移を把握し、顧客生産工場の海外移転などの経営環境にあっても業績が維持されてきた理由を説明する能力を問う問題である。
「これまでの事業や立地環境の推移を把握」とあることから、C社の業績が維持されてきた理由として、①これまでの事業と、②立地環境の推移という2つの取り組みを把握することが条件であることが明確に示されました。

【解答例】
金型設計・製作部門の保有、工業団地組合における共同受注や共同開発、インサート成形を習得するなど垂直統合度を高めることで付加価値を高め、受注量の減少を補ったため。

第2問(配点20点)
C社の成形加工課の成形加工にかかわる作業内容(図2)を分析し、作業方法に関する問題点とその改善策を120字以内で述べよ。

【出題の趣旨】
C社成形加工作業者の一日の作業内容を分析し、作業方法に関する問題点を把握し、その問題を解決する能力を問う問題である。
「C社の成形加工課の成形加工にかかわる作業内容(図2)」が「C社成形加工作業者の一日の作業内容を分析し」という表現に変更されています。
「成形加工作業者の一日の作業内容」は図2のタイトルです。
出題者は、図2の情報を中心に解釈して解答を作成させる意図をもってこの表現に変更したと考えられます。
これと設問の「作業方法に関する問題点」という表現から、本問が生産管理の現品管理の問題ではなく、「生産現場」の問題である意図が明確になりました。

【解答例】
段取り作業時間が長く待ち時間が多いことが問題。昼休み後の加工品の金型と材料は待ち時間の間に準備しておく。加工後の金型は次の加工品のスタート指示後に移動する。作業順を変えるなどで昼休み前に次の加工指示ができるようにして機械の停止ロスを改善する。

第3問(配点20点)
C社の生産計画策定方法と製品在庫数量(図1)を分析してC社の生産計画上の問題点とその改善策を120字以内で述べよ。

【出題の趣旨】
C社の生産計画策定方法と製品在庫量の推移を分析し、生産計画上の問題点を把握し、その問題を解決する能力を問う問題である。
「製品在庫数量(図1)」が「製品在庫量の推移」に変更されました。
「(製品Aの)製品在庫量の推移」は図1のタイトルです。
本問は特に有益な追加情報は得られませんでした。

【解答例】
毎日の指定納品数量が安定しているX社製品Aは週1回の生産から毎日の生産に改める。生産効率重視の生産ロットサイズは日々の指定納品数量に合わせて小ロット生産を行うことで製品在庫を抑制し、X社以外の指定納品数量が少ない製品の需要変動に対応する。

第4問(配点20点)
C社が検討している生産管理のコンピュータ化を進めるために、事前に整備しておくべき内容を120字以内で述べよ。

【出題の趣旨】
C社の生産職場の状況を把握し、生産管理のコンピュータ化を進めるために必要な事前整備内容について、助言する能力を問う問題である。
「C社の生産職場の状況を把握し」という表現が追加されました。
この「生産職場」という用語は生産管理用語辞典にも記載がない用語ですが、出題者が敢えてこの表現を追加した意図を想定しますと、それは「生産現場」と意味的に区別させる意図があったのではないかと考えられます。
「生産現場」という用語は、試験委員の木内正光氏がご自身の著書の中で使われてる用語で、生産の現状を「生産管理」と区別させる意図で使用しています。
本問では敢えて「生産職場」という用語を用いることで、本問が「生産現場」の問題ではないことを強調した意図があったと考えることもできます。
しかし、上記のような推測をせずとも、本問は「生産管理」の問題になりますので、「生産計画か生産統制」を扱う問題となることは設問解釈で十分可能です。
これにより、本問は「生産管理面」の問題として識別した上で、第3問の「生産計画面」の問題と切り分けることが可能です。

この問題と第1問・第5問については企業診断1月号で詳細に解説していますので、理論適用について関心がある方はそちらをお読みください。

【解答例】
金型は支給品も含めて置き場を集約し、社内で統一した識別コードを付けて誰でもわかるようにする。使用材料は仕入先に材料倉庫の納品位置を固定させ、金型・使用材料を探す時間をなくして成形加工課の作業者が効率よく金型・材料などを使用できるようにする。

第5問(配点20点)
わが国中小製造業の経営が厳しさを増す中で、C社が立地環境や経営資源を生かして付加価値を高めるための今後の戦略について、中小企業診断士として120字以内で助言せよ。

【出題の趣旨】
C社の経営環境と事業内容の現状を把握し、立地環境や経営資源を生かして付加価値を高めるための今後の戦略について、助言する能力を問う問題である。
特に追加的な情報は得られませんでした。

【解答例】
金型設計・製作部門を保有していること、顧客企業の成形加工品のコスト低減ノウハウ、インサート成形技術と工業団地の立地環境を活かし、垂直統合度を高めた製品を共同受注や共同開発により対応して、顧客企業の工程数短縮、納期短縮、コスト削減に貢献する。

以上です。
今日から仕事始めの方も多いと思います。
年末年始は思うように勉強もはかどらかなったと思います。
お正月くらいのんびり過ごしてよいと思います(EBA受講生には毎日容赦なく100字訓練のお題を投げてますが)。
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