わかっているようでわかっていない設問の解釈②(解答構成編)

えぐちです。

今日は設問解釈のつづきです。

前回出したお題について、書いていきます。

以下の設問の設問タイプを分類しましょうという宿題でした。

順番に見ていきましょう。

第2問

A社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にあるA社の企業風土とは、どのようなものであるか。100字以内で答えよ。

第3問

X社から求められている新規受託生産の実現に向けたC社の対応について、以下の設問に答えよ。

(設問1)

C社社長の新工場計画についての方針に基づいて、生産性を高める量産加工のための新工場の在り方について120字以内で述べよ。

(設問2)

X社とC社間で外注かんばんを使った後工程引取方式の構築と運用を進めるために、これまで受注ロット生産体制であったC社では生産管理上どのような検討が必要なのか、140字以内で述べよ。

第2問

A社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にあるA社の企業風土とは、どのようなものであるか。100字以内で答えよ。

「その背景にあるA社の企業風土とは、どのようなものであるか。」をどう解釈するかがポイントですね。

ここで「その」が指すのは「古い営業体質」です。

つまり「古い営業体質の背景にあるA社の企業風土とは、どのようなものであるか」が要求になります。

この要求にストレートに応えると「A社の企業風土はこのようである」という解答になりますが、現状の企業風土を100字で記述するのは字数的に多すぎます。

企業風土は企業内で共通して認識される規則や価値観を意味しますので、事なかれ主義だとか保守的だとかリスキーシフトを好むとかいったことを100字で記述するのは無理があります。

この場合は、設問の字数制約から出題者の意図を想定する必要があります。

具体的には「100字も与えておいて企業風土の説明だけじゃないだろう」と考えるわけです。

例えば昨年度の事例Ⅰ第1問と第5問では100字で「最大の要因」を聞いていますが、1つの結論を100字で記述するって違和感ありますよね。

この場合、結論+その具体的内容という解答構成が現実的です。

では今回の問題では、どのような解答構成が期待されていると思いますか?

以下はEBAの解答例です。

【EBA解答例】

A社は最盛期には現在の数倍を超える売上を上げており、高業績に貢献した古参社員が影響力をもっていた。古き良き時代を知る古参社員たちが新しい事業に取り組む際の抵抗勢力となる現状維持志向の企業風土が存在した。

上記解答の構成は、企業風土の形成要因+企業風土の説明です。

このような構成にした理由は、設問「高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった」から、因果関係の解答が期待されていると解釈したからです。

以下、この問題の出題の趣旨です。

企業体質および企業風土の形成要因とその関係について、理解力を問う問題である。


出題の趣旨から企業風土の形成要因も期待されていたことがわかります。

ここで出題者の意図を読み違えると、その部分での加点機会を逸してしまうリスクがあります。

たとえばこの問題では、出題者は①企業体質の説明、②企業風土の形成要因との関係を加点対象にしていたと考えられます。

この意図を読み違えて①だけで解答してしまえば、20点満点で最大10点までしか加点機会がないなんてことも考えられます。

解答構成を事前に想定することの重要性が理解できたのではないでしょうか。

前回にも出題者の意図には⑴解答構成と⑵理論があると書きましたが、設問解釈時点でこれらを想定してメモに残しておくことで、加点機会を損なうリスクを事前に軽減することができます。

これらの処理は過去問と出題の趣旨を使うことで鍛えることができますので、ぜひ取り組んでください。

長くなりましたので、前回の宿題の続きは次回に書きたいと思います。

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