【1次】直前期のメッセージ

えぐちです。

6月12日、診断協会がウェブサイトを更新し、中小企業診断士1次試験は予定通り7月11・12日に実施することを公表しました。

https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/010_c_r02_shiken/R02_1ji_shiken_jukenhyo_enki.html

新型コロナウィルスの影響により受験票の送付は6月末頃の発送になるとのことです。

すでに書きましたが、今後はロックダウンレベルの感染拡大が起きない限り、1次試験は予定通り実施されると考えて準備しましょう。

1次試験まで残り1か月を切りました。

これからの時期は目的を明確にした学習が重要になります。

定着できる可能性の高い領域にかける時間、定着した知識を維持するためにかける時間を中心に、受験科目ごとに整理してください。

その際の基本的な考え方を書きます。

捨てるべきか残すべきかの判断

過去問を見て、問われる論点の深さを確認することで、単なる暗記なのか、インプット知識の応用なのかは識別できると思います。

運営管理の例

テーマ「相乗積」

相乗積は公式だけ覚えても最近の問題には対応できません。

したがって、この時期に知識が定着できていなければ潔く捨てるという判断になります。

テーマ「人時生産性」

人時生産性の問題は公式覚えておけば数値を代入するだけなので、公式が定着していなくてもこれからリソースを割く価値があります。

このように、仕訳することで、少しでも得点機会を高める工夫をします。

このような仕訳をせずにひたすら過去問をぐるぐる回してもバターになるだけでちびくろさんぼです。

つぎに、科目ごとの対策を簡単にですが書きます。

経済学

難易度は昨年並みで、極端な難化はしないと思います。

頻出論点となる乗数理論、IS-LM分析、消費の理論、費用関数、等費用曲線、生産関数はきっちり抑えつつ、数年に1度出題される論点を選択してやっつけてください。

この時期、さぼらずにグラフは手を動かして書くように。

財務会計

何回か書いていますが、今年もっとも警戒が必要な科目です。

初日科目でもありますので、初受験の方は試験の「入り方」と「気持ちの切り替え」が必要となることを知っておきましょう。

この科目で出来が悪くても落ち込まずに気持ちを切り替えて午後に臨みましょう。

基本論点は経営分析、CF(フリーCF)、NPV、配当割引モデル、WACC、CAPM、MM理論、PBR/PER、相関係数とポートフォリオです。

この辺はぜったい落とせませんので死ぬ気でやりましょう。

まず4割確保。

話はそれからです。

企業経営理論

今年は難化も易化もありませんが、いつもながらしょっぱい科目です。

今年も昨年から参加した澁谷覚先生のデジタルマーケティング問題がさく裂します。

IT用語も抑えておくとよいです。

またマーケティング分野では平木いくみ先生が参加しています。

パッケージ問題など抑えておくとGOODです。

過去問は、PPM、5フォースモデル、ドメイン、競争優位性、情報的経営資源、製品アーキテクチャ、戦略的提携、組織構造(6要素)、資源依存モデル、リーダーシップ理論、労働契約、時間外労働、フレックスタイム制、退職・解雇、安全衛生法、雇用調整助成金、消費者購買行動、関与、エーベルの市場細分化、認知的不協和、ブランドコミットメント、価格設定理論、インターネットマーケティングが今年も出題される基本理論です。

運営管理

今年はやや易化(もしくは昨年並み)の予想です。

暗記要素も多いので、のこり1カ月で得点力高めるために貢献する科目でもあります。

毎年の出題領域は、生産管理用語、生産方式(受注生産/見込生産かな)、かんばん方式、VE、生産技術、PERT、発注方式、経済的発注量、需要予測(移動平均と指数平滑)、IE、商品陳列、GMROI、相乗積、人時生産性、ピッキング、物流センター、一貫パレチゼーション、リフト値、JANコードあたりはきっちり抑えておきましょう。

経営法務

おととし足切り救済があったあの科目です。

昨年は見事に40点は取れる問題を用意してくれましたが、決して高得点はとらせまいという試験委員の思いが伝わってきます。

診断士が弁護士領域に口をはさむなと。

さてご存じのように、今年は民法大改正の年です。

改正領域は多岐にわたりますが、その中でも経営法務として関係深い領域は、保証、意思表示、詐害行為取消権、時効です。

有難いことに改正法にはまだ判例がありませんので、条文通りの出題になるという点で出題論点は絞りやすいです、相続含めて5~6問(24点!)出ます。

試験委員が用意する「取れる40点」には改正民法が当然に含まれてますので絶対に捨ててはいけません。

ちなみに相続は排除や欠格と代襲相続の関係も押さえておきましょう。

知財法はなんといっても意匠法改正です。

関連意匠や意匠保護期間はもはやサービス問題ですが、画像の意匠や画像と建築物の組物なども出題されると思います。

得点したいですね。

この領域は8問(32点)ありますので重要です。

会社法は最近すっかりしおれていますが、株式、会社分割、倒産法制、資本金あたりはきっちり抑えておきましょう。

くさっても6問(24点)はあります。

その他は独占禁止法、金融商品取引法、マドプロの過去問を抑えておけばOKです。

経営情報システム

難易度は安定しており、出題者のきまぐれオレンジロードがなければ得点源にできる科目になります。

極端な傾向変化はありませんが、相変わらず割と古い用語が現役で出題されるので、対象範囲が広がるのでやっかいです。

技術的な知識はこれから覚えても使えないので、「用語組み合わせクイズ」問題で得点できるような知識を強化しましょう。

CPUの性能評価、高速化、インタフェース、プログラミング言語、正規化とSQL、ネットワーク機器、インターネットプロトコルとセキュリティ、セキュリティ攻撃、テスト、モデリング(UML)、EVM、非機能要求グレード、EA、SLMあたりはきっちり抑えてください。

中小企業経営政策

昨年の科目合格率は5.6%と最低レベルまで低かった科目です。

過去の傾向から今年は易化、得点源科目になります。

白書領域では中小企業の財務指標、廃業と事業承継、これらの企業の財務状況、経営資源の引継ぎあたりはお約束だと思います。

あと後継経営者の実態やフリーランスの状況などもおさておきましょう。

政策は企業経営でも書いた雇用調整助成金と持続化給付金、小規模基本法(改正)、中小企業税制。。。たくさんありすぎて書ききれません。とにかく覚えた分だけ得します。

各科目の難易度が変動するため、すべてまんべんなく6割を目指す戦略は機能しません。

今年難化する科目(財務や法務)の足切り回避を最優先し、易化が予想される科目かつ暗記科目(運営、情報、中小)できっちり得点を積みあげます。

今年は1次試験受験生が相当減ることが予想されます。

1次試験受験者数14,000人の2割で2800人が2次に進むと4800人の「例年通り」の2次受験者数になりますが、1次受験者数が2割減れば11,200人で、1次合格率2割だと2240人。

2次受験者数が600名ほど減少します。

実際平成29年度の2次受験者数は4300名なので、2次受験者数が少なくなってもよいのかもしれませんが、少なくとも2次受験者数が「多すぎて困る」ことはなくなります。

つまり、今年の1次試験の合格者数を極端に絞る必要はないと考えられます。

このため、今年、特定科目で極端に平均点が低くなった場合は、足切り救済の可能性は例年よりも高まると思います。

足切り救済の議論は「救済による合格者数の極端な増加」との駆け引きだと考えられることから、救済しても合格者数がそれほど増加しないからです。

その意味で、今年1次試験を受験する方は、有利な立場にいるとも言えますね。

これまでの努力は決して無駄ではありませんし、決して無駄にしてはいけません。

手に入れたい未来、なりたい自分は毎日の不断の努力、そして我慢の先にあるものです。

のこり1か月、体調管理には十分に留意して、しっかり自分と向き合いましょう。

最後まで応援しています。