【再現答案分析】「最大の」条件は評価に影響するのか

えぐちです。

1次試験まであと2週間となりました。

受験される方は体調管理に留意してください。

特に睡眠不足や脱水症状は体調を崩す原因となります。

またコンビニ弁当に偏った食生活をされている方も、集中力が維持できなくなります。

面倒でもなるべく家庭でかんたんに調理した食事を摂るようにしましょう。

2週間後の体ならまだ間に合います。

さて今日は久しぶりに2次のことを書きます。

昨年の事例Ⅰでは第1問と第5問で「最大の」条件がついた問題が出題されました。

「最大の」条件がついた問題は、解答構成上、「1つの結論」として読める書き方が要求されます。

第1問(配点20点)
 A社長がトップに就任する以前のA社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100字以内で答えよ。

第5問(配点20点)
 A社長は、今回、組織再編を経営コンサルタントの助言を熟考した上で見送ることとした。その最大の理由として、どのようなことが考えられるか。100字以内で答えよ。



同様の設問タイプの問題は、平成29年の事例Ⅰ第1問、平成28年の事例Ⅲ第3問、平成13年の事例Ⅲ第4問にも出題されています。

平成29年第1問(配点20点)
 景気低迷の中で、一度市場から消えた主力商品をA社が再び人気商品にさせた最大の要因は、どのような点にあると考えられるか。100字以内で答えよ。

平成28年事例Ⅲ第3問(配点20点)
 C社では、クレームを削減する改善活動を計画している。このクレーム改善活動を最も効果的に実施するために、着目するクレーム内容、それを解決するための具体的対応策を120字以内で述べよ。

平成13年事例Ⅲ第4問(配点15点)
 C社が、IC検査用治具の短納期での納入を実現するためには、コンピュータおよび通信ネットワークをどのように活用すべきか。在庫管理以外で、あなたが最も効果があり、かつ現実的だと思う具体的方法を1つあげ、80字以内で簡潔に説明せよ。


 ここで気になることは、この「最大の」条件を無視した場合、果たして採点に影響するのかということですが、出題者がわざわざこのような表現を使用している以上、採点に影響していることは間違いないといえます。

そこで今回は、どれくらいの影響があるのかを考えてみたいと思います。

まず、以下の再現答案をご覧ください。
第1問
(Ⅰ-14)
 理由は①主力事業である葉たばこ乾燥機の売上が減少し、それに付随するメンテナンス事業も売上を向上できなかった事、②メンテナンスに伴う補修性能部品の過剰在庫により費用が増大した事で、経営を圧迫した為である。

(Ⅰ-17)
 理由は、①たばこ市場が縮小していた為、②公的企業の民営化や後継者不足、高齢化により顧客である葉たばこ生産業者が減少した事により、葉たばこ乾燥機の売上が半減してメンテナンスの需要が少なかった為、である。

第5問
(Ⅰ-14)
 理由は、①機能別の部門化により、業務の効率性をより上げて、営業力を強化する必要があったこと、②まだ若いA社長のリーダーシップにより、組織が牽引されている事で、経営改革を進めている状態の為である。

(Ⅰ-17)
 理由は、新体制となりドメインが再定義されて間もない為、①A社長に情報を集約し、大局的な意思決定をする為、②新規事業の促進とコスト削減のため、各機能を強化し、専門化と効率化を進めていく為。


この2名の再現答案は、いずれも第1問と第5問で「最大の」条件を無視しています。

この場合、協会はどのような評価を下したのでしょうか。

これを検証するために、つぎの資料を参考にしたいと思います。

これは、再現答案採点サービスに協力してくれた方の得点開示結果と協会評価の関係を表にしたものです。

A評価とB評価答案をそれぞれ20名ずつピックアップしました。

表のうち、Ⅰ-11、14、17の3名が「最大の」条件を無視しています。

データの数は少ないですが、A評価答案では全員が2つの設問で「最大の」条件を守っているのに対して、B評価答案では3名がこの条件を外しています。

A評価とB評価の差については次のブログで書く予定ですが、この「最大の」条件は協会の採点にも影響しているとみてよいでしょう。


EBAの再現答案採点サービスでは、この「最大の」条件を満たしていない答案は、その設問では加点しませんでした。

EBA評価を見ると、「Ⅰ-14」と「Ⅰ-17」が「C評価」となっており、採点の影響であることがわかります。

しかし、協会の評価はいずれもこれよりも高い「B評価」となっています。

このことから、「最大の」条件は、「その設問で加点しない」という厳しいルールは適用されていないことがわかります。

あくまでも推測ですが、「その設問の総得点÷1/2」や「その設問の総得点マイナス5点」といった程度のペナルティであると推測できます。

えぐちは平成22年度試験から再現答案の採点と結果分析をしています。

模範解答や採点基準が明かされない2次試験ですが、このような情報を分析することで、採点精度の改善に努めています。

次回は、「A評価とB評価の違い」について、具体的に分析していきます。

楽しみにしてください。

今年の事例Ⅰを過去の問題と比較する(その2)

市場縮小は理由になるか

A評価とD評価の違いを明らかにする

合格者の再現答案の共通点

協会評価と再現答案からみたA評価とB評価の違い(事例Ⅰ)