出題の趣旨を踏まえた令和5年度の事例Ⅱ

今回は事例Ⅱの出題の趣旨を考察します。


第1問(配点30点)

 B社の現状について、3C(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社)分析の観点から150字以内で述べよ。

【出題の趣旨】
 B社内外の経営環境を分析する能力を問う問題である。

特に追加的な情報は得られませんでした。


第2問(配点20点)

 低学年から野球を始めた子どもは、成長やより良い用品への願望によって、ユニフォーム、バット、グラブ、スパイクといった野球用品を何度か買い替えることになるため、金銭的負担を減らしたいという保護者のニーズが存在する。B社は、こうしたニーズにどのような販売方法で対応すべきか、プライシングの新しい流れを考慮して、100字以内で助言せよ(ただし、割賦販売による取得は除く)。

【出題の趣旨】
 顧客のニーズに対応した販売方法について、プライシングの観点からB社に助言する能力を問う問題である。

特に追加的な情報は得られませんでした。もう一声欲しいところでした。


第3問(配点20点)

 女子の軟式野球チームはメンバーの獲得に苦しんでいる。B社はメンバーの増員のために協力することになった。そのためにB社が取るべきプロモーションやイベントについて、100字以内で助言せよ。

【出題の趣旨】
 B社が新たな顧客を開拓するためのプロモーション戦略およびイベントの実施について、助言する能力を問う問題である。

「新たな顧客を開拓する」という表現に改められました。「(軟式野球チームの)メンバーの増員」=「(B社の)新たな顧客の開拓」という解釈になります。これにより、与件にある「女子向けの野球用品の提案力を高め」を活用すべき経営資源として使用すべきか、期待効果として使用すべきかの判断が難しくなりましたが、第3問に対応した可能性が高いと考えられます。


第4問(配点30点)

 B社社長は、長期的な売上げを高めるために、ホームページ、SNS、スマートフォンアプリの開発などによるオンライン・コミュニケーションを活用し、関係性の強化を図ろうと考えている。誰にどのような対応をとるべきか、150字以内で助言せよ。

【出題の趣旨】
 重要な顧客との関係性を強化するためのオンライン・コミュニケーション戦略について、助言する能力を問う問題である。

「重要な顧客」という表現が追加されました。これは、既存顧客の深耕(関係強化)が題意であって、新規顧客開拓は題意ではないことを強調する意図と考えられます。このため、新規顧客ターゲットとして指摘したり、新規顧客の獲得を期待効果として記述した場合に加点されなかったと考えられます。


次回は事例Ⅲについて書きます。