本日、令和6年度の1次試験結果が公表されました。
申込者数 | 受験者数① | 受験者数② (A) | 試験合格者数 (B) | 試験合格者 (B)/(A) |
25,317人 | 21,274人 | 18,209人 | 5,007人 | 27.5% |
https://www.j-smeca.jp/attach/test/r06/r06_1ji_toukei.pdf
令和6年度の1次試験合格率は27.5%と、昨年度の29.6%からやや低下しました。
合格率3割という基準が継続されたと言ってよいかと思います。おそらく今後もこの傾向は継続すると思われます。
科目ごとの合格率とEBAの予想結果は以下の通りです。
令和5年度 科目合格率* | 令和6年度 科目合格率* | 令和6年度 EBA予想 | 令和6年度 科目別傾向 | 令和7年度 EBA予想 | |
経済学・経済政策 | 13.1% | 14.3% | やや難化 | 変わらず | 変わらず(14%程度) |
財務・会計 | 14.3% | 15.1% | 変わらず | 変わらず | 変わらず(15%程度) |
企業経営理論 | 19.8% | 39.9% | 変わらず | 易化 | 難 化(20%程度) |
運営管理 | 8.7% | 26.8% | 易化 | 易化 | 難 化(15%程度) |
経営法務 | 25.6% | 13.2% | 変わらず | 難化 | 易 化(17%程度) |
経営情報システム | 11.4% | 15.6% | 易化 | 易化 | 変わらず(15%程度) |
中小企業経営・中小企業政策 | 20.6% | 5.6% | 難化 | 難化 | 易 化(18%程度) |
*令和5年度科目合格率・令和6年度科目合格率は、中小企業診断協会ウェブサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/007_shiken.html)に掲載の統計資料より引用しております。
https://www.j-smeca.jp/attach/test/r06/r06_1ji_toukei.pdf
https://www.j-smeca.jp/attach/test/r05/r05_1ji_toukei.pdf
企業経営理論の鬼易化と経営法務の難化は想定外でした。
なお、昨年のEBAの予想はこちらをどうぞ。
最近の傾向から、1次試験合格率3割説は定説と捉えてよいかと思います。1次3割、2次2割を基準にしていると考えられます。
⑴経営法務の難易度
経営法務が3年ぶりに難化し、科目合格率が13.2%まで低下しました。ここ数年の難易度が低すぎたこともあり、令和6年度試験の難易度は他の科目と比べて適正になったと言えます。令和7年度以降も同程度の難易度が基準になると思います。出題数と難易度の関係から、知財法の優先度を上げ、次いで会社法を抑える対策が有効です。難易度が安定している知財10問で8割以上確保できるようにする必要があります。会社法(10問程度)はここ数年、難易度がばらついていますので、5割〜8割確保を目標とします。ここ数年の出題傾向の変化と学習負荷の観点から、民法の優先度は下げてもよいと思います。ただし科目合格が必要な方は対策が必要です。
⑵経営情報システムの難易度
令和5年度の11.4%から15.6%まで上昇しました。没問調整があったことで、診断協会としては「ちょうど良い」難易度になったと思います。令和5年度の難易度はやや対応が困難でしたが、令和6年度は6割確保が可能な難易度でした。今後もこの難易度が基準になると考えて良いでしょう。
去年のブログにも書きましたが、この科目は過去問のみで6割は取れない設計で作問されています。その点を知らずに学習するとこの科目が鬼門になるので注意してください。
IPAの試験対策が有効ですが、応用情報技術者試験をガチで学習する必要はありません。基本情報、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント試験で出題される用語に慣れれば十分に6割確保可能です。ただし、診断士試験の過去問もしっかり対策しないといけないため(5年分では足りません)、学習範囲が広い分、それなりに学習負荷も高い科目になります。過去問(16年分)とIPA対策をお手軽に学習したいという方はこちらのサービスをお勧めします(2024年11月より提供開始予定)。
⑶運営管理の難化に注意
1次試験の各科目の難易度は平準化傾向にありますが、そのなかで運営管理は動きの激しい科目になります。このため、令和7年度の運営管理は相当難化すると思います。ひどい場合は科目合格率1割を切る可能性もあるため、しっかりと対策する必要があります。最近は出題テーマが同じでも論点を変える傾向があるため、古い過去問はそのままでは使いにくくなっています。ここ2年で問われた論点や形式を踏まえて古い過去問を解くとよいでしょう。
1次試験は昔と比べて合格しやすくなりましたが、決して簡単になったわけではありません。
科目ごとに出題テーマや論点も少しずつ変化しています。「診断士試験は2次試験が勝負」ということは間違いありませんが、手前ロマエで躓いて1年を無駄にすることがないように、しっかりと対策しましょう。
より詳細な令和7年度対策は企業診断9月号で解説していますので、こちらを参考にしてください。