1次試験結果と令和3年度2次筆記試験の予想

1.今年度の1次試験結果と来年度の対策

本日(2021年9月21日)、1次試験結果が発表されました。

https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/010_c_r03_shiken/R03_1ji_kekka-goukakuhappyou.html

申込者数、受験者数、合格者数ともに平成13年度以降最多となりました。

合格率は令和元年度と令和2年度の中間程度でした。

ここ数年高い合格率が続いています。

今年の1次試験は初日易・2日目難という構成で、特に2日目の経営情報システム(10.6%)と中小企業経営政策(7.1%)の科目合格率が低くなっています。

令和3年度の1次試験の各科目の評価と令和4年度試験の傾向については、9月28日発売の『月刊企業診断10月号』で解説します。

『企業診断』の中でも触れていますが、今年難化した経営情報システムと中小企業経営政策の2科目はまず間違いなく来年度は易化します。

今年度この2科目の出来が良くなかった方は、必要以上に警戒する必要はないと思います。

経営情報システムの学習に不安を持たれている方は、やみくもにトレンド用語を漁るよりはIPAの応用情報技術者試験(ただし午前のみ)を学習された方が効率良いと思います。

今年度の試験だけでも7問28点分カバーしています。

中小企業経営政策については、今年度のように中小企業政策分野で得点しにくい場合、前半の中小企業経営分野が得点源になります。

おそらく来年度は政策分野で得点可能な問題が増えると思いますが、不安な方は経営分野、つまり中小企業白書分野からの対策を強化することをお勧めします。

参考までにEBAでは、令和3年度出題の白書分野から出題された21問中17問をテキストに記載し、うち14問(34点/67%)が得点可能問題でした。

テキストに記載した17問のうち3問は、白書通りの記載でなく図表を読み取る問題で、このような問題は暗記負担面からは対策不要と思われます。

経営法務に関してはこちらで書いていますので参考にしてください。


この試験の傾向から、来年度対策は今年難しかった2日目科目よりむしろ易化した初日科目の企業経営理論、財務会計、運営管理の3科目が重要かと思います。

多くの受験生は合格した科目を免除されると思いますが、科目合格率の変動性を考慮した場合、7科目受験が最も低リスクであると考えます。

2~3科目受験と比べれば学習負荷は高まりますが、2次試験の学習負荷が相対的に低いことを考慮しても、「急がば回れ」となるかもしれませんね。

一考の価値はあると思います。


2.今年度の2次筆記試験の予想

まず上記表は、これまでの中小企業診断士試験(1次試験・2次筆記試験)の受験者数等のデータです。

これまでのデータから令和3年度の2次筆記試験の受験者数、合格者数を予想します。

昨年度の予測はこちらをご覧ください。


令和3年度の1次試験合格者は5,839名でした。

そして今年度、2次筆記試験の受験資格がある繰り越し受験生が推定で5,213名いると想定します。

これまでのデータから、このうち約44%(2,292名)が受験の申し込みをしていますので、令和3年度の2次筆記試験の申込者数は8,133名と推測できます。

受験申込者数のうち、実際の受験する方の割合は90%程度となり、令和3年度の受験者数は7,319名と試算できます。

7,000名超えという過去最高の受験者数を記録することになりそうです。

ここ数年の合格率は低下傾向で、18%台となる可能性が高いため、合格者数は約1,350名と予測できます。

この受験者数を見て「今年はパスして来年勝負しよう」と考える受験生も一定数出てくると思いますが、昨年も同じことを書きましたが、先延ばしにして有利になる理由はありません。

無駄に試行錯誤せずに、今年受験して勝つための戦略と具体的学習に時間をかけましょう。

3.7,300名が受験する場合の出題形式と問題数の予測

今年度、1次試験の中小企業経営政策で没問があったため、全員5点加点されました。

これにより1次試験合格者数が数百名増加したと考えられますが、おそらくこれは診断協会にとっては想定外ではなかったかと思います。

2次筆記試験の受験者数が7,300名と想定外に増加したことで、採点コストを考慮した設問設計が必要になると考えられます。

上記の事情から、令和3年度の2次筆記試験では、昨年以上に長文記述問題(120字以上の問題)が減少することが想定されます。

具体的には、昨年度の事例Ⅲ第2問のような60字以内×2つといった組み合わせの設計問題の増加や、平成23年度事例Ⅱ第2問のように、⑴ターゲット層の指摘(20字)、⑵それ以外(25字×2)という組み合わせで設問を分割することが想定されます。

一方で、問題数は少なくなるのではないかと考えています。

平成29年度の事例Ⅱや事例Ⅲのように、問題数を4問として、解答設計上は設問構成に分割するというやり方が考えられます。

大量の答案採点経験があると実感できるのですが、事例Ⅱの採点が最も煩雑です。

採点スケジュールと採点枚数の物理的関係で、特に事例Ⅱではなんらかの工夫がないとスケジュール的にかなり厳しくなるのではなかと推察します。

受験される方は、事例Ⅱの従来の100字助言問題を、ターゲット層20字と施策80字といったように、分割して記述する練習をしておくとよいでしょう。

また、7,300枚を超える答案を人間がごく短期間で採点するわけですから、できるだけ「読んでもらえる解答」を心掛けたいですね。

「字がキレイは得」は十分あり得る話だと思います。

書く内容も大事ですが、読みやすい字への配慮も大切にしましょう。

事例Ⅳについては、難易度を下げた方が捨て問が減るため得点差は小さくなります。

事例Ⅳの採点負荷は少ないので採点枚数を考慮して難易度を調整する必要性は低いと考えます。

それより、難問を連発して実力差が極端にでてしまう得点分布を避け、そこそこ得点できる問題を複数出題することで、実力差がなだらかになるように設計するのではないかと考えています。

事例Ⅳの難易度は毎年変動しますが、昨年度は難しかったこともあり、今年度は易化が予想されます。

このため、CVPやCF計算書などはもちろんですが、NPV問題であっても部分点狙いできる対応が必要になると思います。